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ミスマッチは会社の方向性と自分の方向性が合わないから発生する

この記事を書いた人 佐藤 良太

自己PRや面接練習を頑張って、ようやくもらった内定。ところが、実際に働いてみると「思っていたのと違う…」と、やむなく転職を選ぶ人は少なくありません。

今回はミスマッチが起きる原因や対策方法について、「キャリアのトレーニング!」を展開するキャリアライフコンパス合同会社代表の田中さんとキャリアトレーナーの七野さんにお話をお伺いしました。

【プロフィール】

田中由紀夫

キャリアライフコンパス合同会社代表。大学卒業後、商社に入社。その後、人材派遣紹介会社に転職。横流しの転職支援に疑問を感じ、人生の方向性を見つけ、より良い仕事人生を送る人を増やしたいという願いからキャリアライフコンパス合同会社を創業。現在は自分が思い描くキャリアカウンセリングを通じた就職支援に従事。

七野綾音

弁護士を目指して司法試験に挑戦するも、最終合格に至らず夢をあきらめる。モヤモヤを抱えたまま弁護士事務所で正社員として働く中で、「もっと自分の良さを活かせる仕事がしたい!もっと自分の存在価値を実感したい!」という想いが募り、キャリアコンサルタントの資格を取得。人生は山があり谷があるからおもしろいをモットーに、現在はキャリアトレーナーとしてお客様の仕事人生に全力で伴走中。

 

ミスマッチの原因の根本は人間関係ではない

ーーミスマッチが発生する理由を教えてください

田中由紀夫氏(以下、た):まずは条件で決めてしまうパターンですね。条件も大事ですけど。たとえば年収や福利厚生など、条件で決めれば条件が合わなくなった途端に辞めていくパターンをこれまでにたくさん見てきました。あと仕事が生活のための手段になっているパターンも多くて。生活も大切なんですけど、そこだけに意識を持っていくから、しんどくなって辞めていくと思うんです。

ーーなるほど。条件で企業を選ぶと条件が合わなくなるとやめてしまう人は多いと思います。そのほかにミスマッチが原因でやめてしまうパターンはありますか?

た:ミスマッチが原因でやめる理由は「人間関係」「やりがい」「お金」の3つのパターンが多いです。この3つに満足している場合は、定着率がかなり高い。2つが合わない場合は高い確率で辞めますし、1つだけ合わない場合であれば、微妙な感じかなと。

ーー人間関係が合わなくてやめるという話をよく耳にするのですが、実際はどうなんでしょうか?

た:たしかに僕も人材業界に入るまでは人間関係が原因で辞める人が多いと思ってたんですけど。この仕事に長く携わってみると、仕事自体がつまらないから辞めるんじゃないかなと思えてきました。仕事がつまらないとパフォーマンスも上がらないので評価してもらえない。つまらないから成果が出なくなって、年収も上がらないとなるのがミスマッチの原因ですね。

ーー人間関係が良好じゃないからやめると思っていました……

た:会社はサークルではなく仕事。一緒に働く人たちは同志であり、戦友のはずなんです。仕事に対して熱い思いがあるからこそ、どうやったら良くなるかという議論になりますし、成果を上げるためにどうやって人間関係を構築していこうって発想になるんですよ。だから、仕事が楽しいとか熱い思いがあれば、人は辞めないんじゃないかなと。

 

選ばれるために自分から選びに行く

ーーミスマッチを防ぐために求職者が面接時にできることを教えてください

た:会社の面接は選ばれるために行くわけですけど。求職者側が選ぶ側に回ってもいいと思っています。面接の際に企業のビジョンを聞いてみて、自分のビジョンとマッチしているかを確認してもいい。もし会社側が自分達のビジョンを語れないようであれば、それが選択の材料になります。

そもそもビジョンがない会社で働きたいと思えるかどうか。会社のビジョンと自分のビジョンがマッチしているかを知るために、求職者が自分なりに業界の将来を考える必要があって。自分に合った就職先を選ぶためにも自分の基準を持つ必要がありますね。

七野綾音氏(以下、し):企業面接の際に「自分という人間」をきちんと伝えることですね。それが本来の書類選考や面接の形だと思っています。転職支援をしていてよく思うのが、面接で「あなたはどう思いますか」と聞かれたときに「私は今までこんなことをしてきました」で終わってしまって、 質問に答えていない人が多いなと。「あなたはどう思いますか」に対する答えは「私の考えはこうです」じゃないですか。でも、あなたの考えを教えてくださいと言われているのに、質問に対して的外れな答えをしてしまうから相手に伝わらない。結果、企業も判断できない。すごくもったいないと思うことが多い印象です。

ーー求職者の考えを聞いて採用の有無を判断するのは企業だと思います。企業側がミスマッチを防ぐことはできないんですか?

た:企業の人事は採用のプロではないんですね。もちろん採用がうまい会社さんもありますけど。 これは企業の組織構造を見れば、わかることで人事は非生産部門ですから、生産性の高い人は営業とかに回るはずなんです。

人事部は非生産部門という位置づけをされがちだから、会社の利益を生み出すエース級の人がいない場合がほとんどです。中小企業でも社長さんが面接することはあるわけですけど、やっぱり採用のプロではないんです。ちゃんと深掘りができるような人だったら、この人はこういう考え方かとか、こういう人生を歩んできたかとか。うちの会社でこれからこうしようとしてるのかなど、自社の採用基準にあっているかどうかを決めることができるんですけど。ここまで徹底して採用に向き合っている企業さんはあまりいない印象ですね。

ーー採用基準に沿って採用するのではなく、肌感覚で採用している会社さんが多いってことでしょうか?

た:もちろん直感も大事な要素ではあるんですけど、 もっと論理的に求職者を見ないとダメですね。 面接時に業界の話や仕事内容だけでなく、仕事の意味や動機、目的を伝えた上で双方オッケーで採用。でもそこで終わりではなくて、長期的にパフォーマンスしてもらうためにどう関わるかを考えなくてはいけません。ミスマッチの原因は本人の問題もありますけど、受け入れた会社側にもあると思っています。

 

自分の方向性を決めてミスマッチを防ぐ

ーー求職者は将来の方向性を定めた方がいいんでしょうか?

し:将来の方向性について決めた方向性が変わることは全然あると思うんです。 私たちは「キャリアのトレーニング!」を行うなかで、最初に受講者がどういう方向性でいきたいのかを探ります。トレーニングの回数を重ねていくごとに将来の方向性が変わることも全然ありますし、むしろいいことだと思うんです。その前提として、なぜ将来の方向性を定めておいた方がいいのかってお話なんですけど。目的地がない状態で走り続けるのはかなり無理のある話だと思うんです。車を運転するときに、カーナビに目的地を設定するから、目的地までのルートが出てきますよね。将来の方向性を決めずに就職活動をすることは、地図を持たずに、走り出した車みたいな状態かなと。特に現在は働き方の選択肢が無限にありますので、より迷子になる可能性が高いと思いますね。

た:自身の将来を思い描くために、方向性を定めるためのコンパスを持つことです。自分の考え方や思いだけじゃなく、世の中の状況やそこで繰り広げられる職業について考える。地図を広げて行きたい方向を定めても、なかなかまっすぐ進める人は少ないと思うんです。状況を読みながら、紆余曲折しながら進んでいくみたいな。でも、方向性を決めてかつその向こう側をイメージすればワクワクしませんか?ワクワクすれば「行かねばならない」から「行きたい」になるはずなんですよね。だからこそ、方向性を決めるっていうのはとても大事。 でも、多くの人は「将来がわからないのは当然」みたいに話すんです。将来がわからないと話す人は「意思がない人」と捉えられても仕方ないかもしれません。

 

人生の方向性を1人で見つけるのは簡単ではない

ーー人生の方向性を見つけるためには、自分と向き合うことが大切だと思いますが、現代は自分自身と向き合う機会が減っていると思いますか?

し:私は子どもができてから特に思ったんですけど、もう毎日に忙殺されているみたいな感じで。その日をどうやってこなしていくかを考えている人は、多分自分に余裕がないので、自分自身とちゃんと向き合う時間があんまりないと思うんですよね。なので、自分と向き合えている人って少ないんじゃないかなと。

た:特に日本では「あなたはどう思うか」と小さい時から問われる機会がほとんどありません。だから、自分を振り返るとか、場合によっては自分の心に聞いてみるなど「自分とは?」みたいな感じで向き合うことはほとんどないと思いますね。自分と向き合わなかったら、何を思っているのかとか、どうしたいのかとか、何が嫌なのかっていうことを明確に言語化できません。言語化できなかったら、選択する軸がないので、 自分で選べないでしょうね。選べないから決めることはできない。仮に選択したとしても、そこに軸がないから早々に手放してしまう。 多くの人はそういう状況だと思いますね。でも、日本は手を挙げれば、誰でも就職ができてしまう国なんです。

ーー誰でも就職できるという観点から考えた場合、就職自体のハードルは低いかもしれないですね。選ばなかったら選ばれない…、 でも、本当は選びたいはずなんですけどね。

た:そもそも選ぶためには自分と向き合わなかったら、選びようがないです。じゃあ選ぶとはなんなのかっていうのは、自分の考えや思い、興味関心、能力、価値観など、当然条件もなんですけど。そういうものと向き合って言葉にして、自分の軸をちゃんと持つことかなと。ここまで自分と向き合えていれば、ミスマッチはだんだん起こらなくなると思いますね。

 

「キャリアのトレーニング!」は求職者の人生の方向性を見つけるために作られた

ーー人生の方向性を見つけるために「キャリアのトレーニング!」を作ったとお聞きしたのですが、実際にどういうことを行われていますか?

た:トレーニングは全10回、2つの領域で展開しています。前半のキャリアカウンセリング領域と後半の就職・転職支援ですね。

前半のキャリアカウンセリング領域は自分のことがわからないとか、自分に何が向いているかわからないといった方に向けての自己理解トレーニング。そして自己理解をしてもらって、かつ世の中の流れや動きをトレーニングをとおして理解してもらって、自分がどこに立っているのか自分がどこに向かいたいのかを考えていただく。その上で自分がやってみたいと思う職業を考えて職業選択をしていく。

後半の就職・転職支援の領域では、自身の方向性に合った職業が世の中に何をもたらすかとか。これからどうなっていくのかを考えた上で、志望動機と自己PRを考えていくことで自分の思いをさらに言語化し、第三者に見てもらうための書類作成や面接のトレーニングをしていくという流れですね。

ーーちなみに「キャリアのトレーニング!」で、田中さんと七野さんは受講者の方と向き合うときにどのようなことを意識しているのですか?

し:受講者から出てくる言葉に私自身が腑に落ちない時って、受講者も腑に落ちてない場合が多いんですよ。ぽろっと出てきた言葉は抽象的な言葉が多くて。たとえば責任感とかコミュニケーションなどの言葉をぽろっと使ったりするんですけど、その言葉を受講者はどのような意図で使ってるのかなとか、どのように捉えているのかなと。そこに形成されてきたその人の価値観や考え方があることが多いので、そこを突き詰めていくっていうようなことを意識してやってます。

た:受講者に自分自身を理解してもらうことも大切なんですけど、 その先の自己PRですね。自分は積極的とか、コミュニケーション力があるとか、そういう類の話ではなく、世間に対して、自分と世間の職を通じた関係性をよく考えてもらいますね。 そうすれば選んだ職業に対しての意味づけや動機、目的がイメージできますし。何をやるのか、なぜやるのか、どのようになればいいのかを自分の中で見出すことができれば、それが受講者の人生の方向性になります。

ーーありがとうございます。最後にお伝えしたいことはありますか?

た:僕たちは特に大阪、関西で生まれた人は地元で働いて生きていく人が多い印象。関西の人と企業を結びつける三方よしの存在でありたい。地域を良くするために地域で働く人、地域で仕事をする会社を結びつけることをイメージして、皆さんのキャリア人生を充実したものにしたいと思っています。キャリアライフコンパスでは、お問い合わせを無料で行なっておりますので、ご興味を持たれた場合はお気軽にお問い合わせください。

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